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第1章 肉体の叫び

「え？今夜帰るって言ったでしょ？」
夫からの電話だ。女優のヘアヌード写真撮影で出張しているのだが、今日帰る予定が３日延びるというのだ。
「わかったわ」
ナナは怒って電話を切った。そして昨夜見たサイトに入ろうと思った。

どうなってもいい。性欲が満たされるならどうなっても構わない。そう言う投げやりな気持ちになっていた。
「えっと　ここだわ　サイト名『性欲が満たされない女性たちへ』」

「こんばんは　ストーンです」
チャットでメッセージがきた。
「こんばんは　りんごです」
ナナはニックネームをりんごにした。

「どうしました？」
「あの・・・満たされたいです」
「性欲ですか？」
「あ、はい」

「どちらにお住まいですか？うちは東京・千葉・神奈川・埼玉しかお受けできませんが」
「東京です」
「失礼ですが、年齢は？」
「３８歳です」

「突然ですが、明日なら空いてますけど」
夫は３日後まで帰らない。好都合だった。
「大丈夫です」
「えっと、やりたいプレーとか、やりたくないプレーとかあります？」
「フェラだけNGです。それ以外は何でもOKです」
「わかりました。嫌なプレーはしませんから安心してください」

「あの・・・本当にお金かかりませんか？」
「え、かかりませんよ。うちのサイトはみんなボランティア。困っている女性を助けるためにやってます。安心してください」
迷いがないと言ったら嘘になる。それでもナナはセックスレスの地獄から抜け出すために重い扉を開けたのだった。

「じゃ、お待ちしてます」
「お願いします」