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第24章 片想い

特に、千佳子さんの素晴らしいところは、泣かないことだ。男に囲まれて、犯されるとわかれば、普通の女は泣き叫んで助けを求め、許しを請い、泣きつく。

しかし、千佳子さんは、そのどれもを拒否した。泣かない、叫ばない、助けを求めない、許しも請わないで、俺たちを迎え撃った。そして、最初の一撃で、俺様は、やられた…。でも、痛みに悶える俺様を見た千佳子さんの目は、優しく、大丈夫？と、労わりに包まれていた。

集団強姦魔に襲われて、抵抗した結果、相手にダメージを与えて、労わる女はいない。それが普通だ。でも、千佳子さんは違った。

だから、俺様は、思った。この人ともっと違う形で出会いたかったと…。しかし、裴恵奈が、こういう形の依頼で話を持って来なければ、そもそも、俺様は、千佳子さんと出会うことすらなかった。そう思うと、これも運命なのだと思わずにはいられなかった。

少なくとも、志操堅固な千佳子さんが、ホスト通いをするはずもなく、裴恵奈の話がなければ、俺様と千佳子さんが交わることはなかった…。そう思えば、これが、俺様と、千佳子さんが出会う、運命の糸が交わる唯一の方法だったのだと俺様は、悟った。

だからこそ、この千載一遇の好機を逃してはならないと、思った。

それは、他の男たちも同じだった。千佳子さんを俺達のものにする。俺達から離れられないように、ここで一気に畳みかけると…。

しかし、ウルフは、

「ダメだ。家に帰らせないと、官憲が動く」

と、拒絶した…。確かに、それはそうだ。惜しかった…。

裴恵奈が笑いながら、

「大丈夫。十二分に動画撮影はできたわ。あなたたちの不甲斐なさと、千佳子のイクところも」

と、言った。それで、満足して、次回を待つべきなのかもしれない…。じれったいが、それしかない。シーライオン、ベアーも、苦虫を潰したような表情だったから、俺様と同じ気持ちだったのかもしれない。

「ジラーフ、仕方がない。タイムオーバーだ」

と、ウルフが説得してきたが、ウルフの表情も、苦渋の決断だという感じだったから、俺様は、黙って、ウルフの肩を叩いて、同意したさ。