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第24章 片想い

強い。多分、全員がそう思っただろう。唯々諾々とすることはないという、毅然とした態度だった。

いつもならギャンつく裴恵奈も黙っていた。それでも、やっとのことで、部屋を出ようとする千佳子に、裴恵奈が、

「わかっているわね。今日の一部始終は、動画に残っているし、写真だって撮っているのよ」

と、噛みついた。

「だから？」

と、答える千佳子。危ないものを感じたが、裴恵奈は、

「今までの動画もあるわ。吉見先生の奥様の痴態として、ネット上にアップロードすることだってできるし、病院関係者で共有することだってできるわ。そうされたくなかったら、私たちの言うことを聞くのよ。いいわね」

と、睨みつけた。

「名前通り、ハイエナね。1対1では何もできないのに、数を頼むと強くなるのね」

と、嗤った千佳子。顔色が変わる裴恵奈。

「ウルフ、ジラーフとシーライオン、ベアー。今日はお世話になりました。ところで、ハイエナが言っている通りなの？私は脅しには屈しないわ。したければ、ネット上にばら撒いてもいいわよ。病院関係者で共有してもいいわ。別に、そんなことは、私にとっては、たいしたことではないから」

と、俺たちを見渡して話す千佳子。言葉に詰まる、俺たちを尻目に、裴恵奈が、

「いいの？ネット上にアップロードしたら、3人の義理の息子さんの目に触れるかもしれないわよ」

と、脅した。それは…。俺様も、その文言は卑怯に感じた。しかし、今までの裴恵奈の所業を知っている俺様には、裴恵奈なら、当たり前なのだろうと思った。卑怯という言葉は、裴恵奈には誉め言葉だからだ。

「なんなら、義理の息子さんに、DVDに焼いて、渡してもいいのよ」

と、畳みかける裴恵奈。

「自分たちの犯罪行為をわざわざ、周知する感覚が私にはわからないわ」

と、言い返す千佳子。

「全部を見ればそうなるかもしれないけど、編集で何とでもなるのよ」

と、勝ち誇った様子で嗤う裴恵奈。

「そうでしょうね。でも、息子たちは、私を信じてくれるわ」

と、裴恵奈を見て、フッと笑う千佳子。睨む裴恵奈。

「それに、それでいいの？ウルフさんと、シーライオンさん、そして、ベアーさん」

と、俺たちに訊く千佳子。言いたいことが俺様にはわかった。そう、男が3人がかりで、千佳子にイカされたことだ…。