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第34章 再会

伝えたいことは伝えた。次は、

「ところで、旦那さんは回復したのかい？」

と、旦那さんのことを訊いた。ハイエナからは、通院は終わっていると聞いていたが、実際、どこまで回復しているのか知りたかった。

「坐骨神経痛の痛みはなくなったから、通院も終わりました」

と、答える千佳子。それは知っている。知りたいのはその先だ。

「そうみたいだけど、できるのかい？」

と、訊くと、

「できるかもしれないけど、いつ痛みが出るかわからないからしないわ」

と、千佳子は、少しツラそうな顔で話した。夫を愛している妻の顔。俺様は、知らない顔だ。女がそういう顔をするということを、知らなかった。ホストをしていると、既婚者の女とも話す機会は多いが、ほぼ100％、旦那の愚痴から始まる。旦那を心配するような言葉とは無縁の世界だ。

「だからなんだね。肌の艶が前よりないのは」

と、話した。実際、そういう感じがしていた…。千佳子はその言葉に悩んでいる感じだった。セックスをしないことで、新陳代謝が滞り、肌の艶が悪くなっていることはわかっていたが、それは言わなかった。千佳子は、わかっているはずだから…。

「気持ち良くなりたかったら、いつでも言ってくれ。シーライオンもウルフもベアーも、待っているから」

と、暗に、セックスをしないと肌の艶が衰えると伝えたつもりだった。

「どうして？」

と、訊く千佳子。何に対してのどうして？か一瞬迷ったが、俺たちが待っているということへの疑問だと受け取った。

「みんな、千佳子のことが好きなんだろ。多分、理由は同じだと思うぜ。まして、俺様と違って、あいつらは、千佳子にイカされたクチだからな」

と、笑いながら伝えた。

「リベンジってこと？」

と、真顔で訊く千佳子。

「そういうことじゃないだろ。気持ち良かったんだろ。千佳子の中が。それはわかるから」

と、答えて、千佳子を見て笑った。そして、

「でも、千佳子は、旦那がいるから、そういうことはできないだろう？」

と、先回りして、千佳子に訊いた。

「そうよ」

と、千佳子は答えた。『わかっているなら訊かないで』という言葉が聞こえそうな顔だった。