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第16章 交渉決裂

それと同時に、病院で看護師集団が私を睨んでいたのかもわかったわ。看護師たちの怒りとか、夫に対して、自意識過剰というか、自信過剰というか、何もかも、私には理解できなかった。

夫にとって、看護師は同じ医療従事者であって、仲間だという認識はあっても、たぶん、恋愛対象ではなかったと思うから。

夫は言っていたわ。頼賢と頼賀、頼貢の成績を見て、私が、夫に、

「３人とも頑張っているわ」

と、話した時、

「そうだろう。遺伝子もいいからな」

と、答えたから、

「凄い自信ね」

と、笑うと、

「子供の能力は、夫婦のどちらから遺伝する可能性が高いか知っているよね？」

と、訊いた夫…。私が、

「母親ね。３人の母は、薬剤師さんだったから、優秀なのね」

と、答えると、

「本人の努力もあるだろうけど、遺伝子も大きいと思うよ。だから、俺は、君と再婚したんだ。もし、子供ができても、優秀だろうから。なのに、年齢の壁が…」

と、ため息を吐いた夫。

「そんなことは気にしなくてもいいの。すでに３人も優秀な息子たちがいるのだから」

と、私が答えると、頷いた夫。多分、先妻の最期を思い出していたのだと思ったわ。夫にとって出産はトラウマになっていると感じていたから。

同じ医療従事者でありながら、出産による死去という最期を迎えた先妻の死を喜び、湧き立っていたという看護師たち…。そして、再婚相手が自分たちでなかったことに怒り心頭と聞いて、呆れるしかなかった。でも、その表情がハイエナには、面白くなかったみたい…。

「なに？その人を馬鹿にしたような顔」

と、言いながら睨んできた。

「それで、この人たちを集めて、あんなことをして、何が愉しいの？」

と、睨むハイエナに訊いたわ。

「愉しいかどうかじゃないわ。あなたが、地獄に落ちればいいの。そして、看護師をバカにしているお前や、吉見先生が苦しめば、スカッとするの。それだけよ」

と、話すハイエナ。私が呆れて黙っていると、

「少しはわかったみたいね。ジラーフとシーライオンは、あなたが気に入ったみたい。だから、セックスしたらどうなの？吉見先生に気に入られて、喜んでセックスしたように」

と、話すハイエナ。言っていることが無茶苦茶…。