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第16章 交渉決裂

「無茶を言わないで。既婚者ですから」

と、私が話すと、

「何を言っているの？時代錯誤ね。人妻ナンパなんて当たり前の時代よ」

と、笑うハイエナ。

「ハイエナ。ま、そういうタイトルのアダルト動画は、巷に溢れているけど、素人はほとんどいないよ」

と、笑う元AV男優のシーライオン。

「でも、ホスト通いは人妻が多数派だね。旦那の愚痴を言いながら、話を聞いて！キスして！セックスして！って流れが鉄板だけど。愚痴もない感じ？愚痴なら聞くし、キスならいくらでもするし、セックスなら喜んでさせていただきますよ」

と、こちらも笑いながら話すジラーフ。

「夫に不満もないから」

と、私が断ると、

「本当に？『無くて七愚痴、有って四十八愚痴』というけれど」

と、返すジラーフ。

「それは、『無くて七癖、有って四十八癖』です」

と、私が訂正すると、

「そうか、俺はてっきり『無くて七手、有って四十八手』だと…」

と、笑うシーライオン。

「それは体位だろ」

と、シーライオンにツッコむジラーフ。意外にジラーフって関西人？ボケとツッコミって…。滅多に見かけないけど…私には息がぴったりと感じたわ。あと、わからなかったから、

「たいい？」

と、訊くと、２人とも、

「知らないの？」

と、呆れるシーライオン。頷いて、

「よい子は知らなくていいことだけど、いい女は知っておかないといけないよ」

と、笑うジラーフ。

「漢字で書くと、『カラダのくらい』って書く。『身体の位置』って意味かな。時間のある時にググるといいよ」

と、微笑むシーライオン。この２人、ホストとAV男優というだけあって、女性の扱いが慣れているというか、警戒させない何かを持っているように感じたわ。

「本当に、知らないの？いまどき、女子中学生でも知っているわよ。知らないふりしているんじゃないの。四十八手、全部は知らなくてもいくらかは知っているはずよ」

と、睨んでくるハイエナ。残念ながら。相撲の四十八手も知らなかった私。当然、体位も知りませんでした。夫は自然体で抱き寄せる感じだったので、それがなんという名前の体位かも知らず、言われた通りにしているだけだったわ。

「名前を知らないだけだと思うけど、そういうのは習った記憶がないわ」

と、答えると、

「習わないわよ。自学自習するの」

と、嗤うハイエナ。