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えっちなBL短編集
第3章 チェスの天才、シヴの悩み[パリピ青年×チェスの天才]
エドガーに連れていかれ、彼の車に乗る。後部座席の真ん中に座り、祖父からもらったチェスの本を読む。その間もエドガーは何か喋りかけてきた。

「それそんなに面白いのか?」

「よく文字読めるなー。見てるだけで酔いそうだぜ」

「あ、気分悪くなったらすぐ言えよ。吐かれるのは勘弁」

「おーい、シヴ?聞いてんのかー?」

「ったく、ほんとチェス好きだな」
「…」

好き…とはまた違う。これはもう俺にとって無くてはならないものだ。チェスはもう俺の人生そのものでこれが俺の世界なんだ。

「ついたぞー」

その声にハッとなり、前を見ると、かなりの豪邸が建っていた。え、まさかここが…?

「…は?ここ、本当にあんたの家?」
「ああ」
「あんたって金持ちだったのか」
「ま、そうだな。謙遜してもしょうがねぇし、親が開業医で金持ちなのは事実だぜ」
「ふーん。金持ちは嫌いだ」

エドガーが金持ちなら俺から金銭を強請るために近寄ってはいないのか。じゃあ一体何のために?本当に友達になりたいと思っているのか?いや、そんなわけない。友達以外の回答が知りたい。

エドガーについて行き、彼の部屋に案内された。広い屋敷には広い部屋が入っている。彼の部屋は俺の部屋が4つほど入りそうだ。ベッドもキングサイズか…。金持ちのくせに性格も良くて運動もできるなんて神に愛されているんだな。
…早く目的のものを受け取って帰ろう。

「チェス盤取ってくるわ」

エドガーが部屋からいなくなった瞬間、倒れるようにベッドに横になった。やっぱり誰かと一緒にいるのは疲れる。

「…!」

天井を見てハッと息を呑んだ。エドガーの広い部屋の天井にはチェス盤が広がっていた。

なんて絶景…!
あいつ…こんなベッドで毎日寝ているのか。ますます羨ましい。部屋を交換してくれないだろうか。

天井を見ていると起きたまま意識が落ちていくのがわかった。そのまま身を任せ、心地よいチェスの世界に落ちていく。

自分だけの世界、永遠にここにいたい。
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