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えっちなBL短編集
第3章 チェスの天才、シヴの悩み[パリピ青年×チェスの天才]
目が覚めて、最初に見たのはチェス盤だった。それから濡れた音がして、意識が浮上していく。

「あ?起きたか」

「…、?」

目の前にはエドガーがいた。これは夢か?何で彼が目の前に…手を伸ばそうとしたが何かに邪魔されて無理だった。手を見ると手錠のようなものがベッドの柵に繋がれていた。

「え…はっー!」

尻が避けるような激痛が走った。一体何が起きているのかわからなかった。

「クハハッ、いいタイミングで起きたな、シヴ。やっぱ反応見ながらじゃないとな」

だが、分かりたくなくてもすぐに理解する。俺はエドガーに犯されていた。突かれるごとに内臓が押されるような痛みを感じる。

「あ、っ…!な、っ、何で…っ、やだ、やめろっ…」

抵抗しても無駄だと言わんばかりに拘束が音を立てる。これは悪い夢なんじゃないか。

「ああ、痛いか?痛いよな?すぐ気持ちよくしてやる」

エドガーの動きは止まり、何かを取り出すとガラスのパイプのようなものに火をつけた。

「こいつは上物だからな、ほら、試してみろ」

違法な薬であるのはすぐにわかる。パイプを近づけられても顔を背け、口を塞ぐがエドガーはそれを許さなかった。

「っ…!」
「おいおい、そんな抵抗しても無駄だぜ」

鼻を摘まれ、息ができなくなる。嫌だ、吸いたくない。エドガーはなぜこんなことをするんだ。

「ほら、吸ってー」
「ーーッ!」
「そうそう限界まで、吸ってー」

抵抗も長く続かず、口を開けて空気を思い切り吸い込んだ。その瞬間、パイプを深く入れられ、煙を吸った。

「んじゃ、吐く前に5秒耐えろよ」

パイプを抜かれたかと思うと、口を塞がれ意識が遠のきそうになる。煙が脳を体を支配していくのを感じた。

だけど、苦しいのなんて一瞬だった。

痛みなんて消え去り、自分と世界の輪郭がなくなり溶けていく。

目の前がキラキラと星のように輝いて、俺の周りには白ポーンが指示を待っている。目の前には白キングが…いや、違う、古いペンキが剥がれるように白は剥がれて本性の黒い肌が見えた。敵、動かないとチェックメイトだ。

「は、はぁっ…っ、、あはっ…!」

なんだこの気分は…。チェスをしている時と同じくらい、いやそれ以上に楽しいかもしれない。されていることは最低なのに、口角が上がって笑ってしまう。
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