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えっちなBL短編集
第5章 神様の生贄になった子供達
夢から覚め、知らない人の手を掴んでいた。
そこは駅のホームではなく、鳥居をくぐった神社の本殿の前にいた。

「え…な、何だ?」

空が薄暗くなり灯籠に光が灯され、どこか神秘的で、世界がひっくり返ったようなそんな心地がした。自分だけ世界から切り取られて反転させられてしまったみたいだ。

仮面の男の手を離し、後ずさった。どこか貴賓のある出立ちで真っ白な着物で、袖には金色の三つ巴の家紋が刺繍されていた。

「君が1人になるのをこっちはずっと待ってたんだ」

「!葵兄さん…?」

その声は聞き覚えのある葵兄さんの声で混乱する。安心するが、なぜか違う気がする。

「いいや。僕は神様だよ」

神様…?…これは夢か…?後ずさると近づいてきた。その瞬間、あの花の匂いがした。ポケットの中のお守りを取り出し握りしめた。

「遠い昔に君の祖先と約束をしたんだ。君の祖先は村の飢饉を救うため我が子を代々生贄に捧げますとね」

頭に直接言葉が入って、追いかけてくるように兄さんの声が聞こえてる。自分の頭で葵兄さんの声に変換しているみたいだ。

「…祖先がした約束なんて知らない。俺は絶対に生贄になんてならない」

先祖?生贄?頭の中が混乱する。こいつに食べられてしまうのか?絶対嫌だ。

「あぁ…生贄って言葉が悪かったね。君を食べたりしないよ」

「じゃあ、何をするんだ」

「よく聞いてくれた。単刀直入に言うね。ふふ、君の体を僕に譲ってくれないだろうか」

…絶対に嫌だ。譲ったら俺はどうなる?この体は俺のものだ。

「神は概念のようなものだからね。実体がないのさ。君は僕の器にふさわしいんだよ」

「嫌だ」

意味がわからない、何で俺が体を捧げないといけないんだ。

「ふむ。君は自分が自分で無くなるのが嫌なんだね。わかった、じゃあ君は君として存在はするような手を考えよう」

神はうーんと頭を傾げ考え始めた。意外と話を聞いてくれる神様だな。

声が葵兄さんなこともあり、次第に恐怖は無くなっていた。
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