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えっちなBL短編集
第2章 狂信的な夜[文系大学生×俺様ホスト]
💠静流サイド

コロナでの外出自粛が明け、大学の授業もオンラインではなくなった。それは世間的には良いことではあるのだが、俺としてはもっと続けてもよかった。

今日も紫は最高に可愛い。

携帯を開くと待受に彼の顔が映し出される。美しい。センター分けの前髪、猫のような大きな目、スッと通った鼻筋、色のある綺麗な唇。携帯の世界に入りたいとすら思う。

紫とは中学からの付き合いで、昔からずっと彼に惹かれていた。いつもクラスの中心で、自信に満ち溢れ、この世の誰よりも美しい存在。

見ているだけで満足だと思ったのに、彼に触れたい、欲しいと欲望が止められなくなった。相手にしてくれないとわかっていたから、遠慮なく彼に恋ができていたのだろう。

紫に言ったらきっと気持ち悪がられるだろうが、彼が知らないところで俺は結構変態行為をしている。

彼が触れたものには触れにいった。彼の言動をノートにメモした。授業中は窓ガラスに反射する紫を見ていた。脳内で紫ボイスで小説を読み上げてもらっていた(それは今も)。

こんな変態な俺と一緒にいて良いのだろうか。
紫はこんな俺のどこを好きになったのだろうか。これは全部夢なんじゃないかとすら思う。いつか目が覚めて全部が夢だったと思わされるんじゃないか。そんなこと耐えられない。それなら早く夢であってほしいと思ってしまう。

「えっ!?彼氏がホスト…!?」
「ちょっ!声でかいって!」

思考を遮るように後ろの席に座る女性たちの声が頭に入ってきた。
彼氏がホストか…。俺と境遇一緒だななんて勝手に親近感を覚える。

「それ本当に彼氏なの?そういう営業じゃないの?」
「あー“本命営業”って言いたいの?でも私とカレ本当に付き合ってるんだから」
「“本命営業”って何?」
「ホストが女の子にお金を貢がせるために本当に彼女って思わせることだよ。でも、私とカレは本当にそんなんじゃないの。会ったのもお店の外だし、お金出さなくて良いって言ってくれるし」
「へー…まぁ、深入りしないけど」

会話を盗み聞きなんて良い気分じゃないが、本命営業なるものを知った。…そうか、紫はホストだから俺に本命営業をかけている可能性もあるのか。

何ということだ…知らない間に俺は紫の客になっていた…!

それなら俺も紫の客として金を落とすべきなんじゃないか?



…今夜、ホストの紫に会いに行こう。

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