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unbalance
第14章 予定外
「修正の前に、お礼、言ったんですか?」
「……俺は今、霧野と話をしているんだ、相馬は……」
「グラフ作ったのは俺なんで、俺に言ってください」
「俺は霧野に頼んだんだ! 相馬が手伝ったか知らんが、霧野の責任だろ!」
「じゃあ部長が霧野に頼んで作らせた資料は、部長の責任ですね?」
相馬がにやりと笑う。凄みが増す。こちらが引くほどに。
相馬、こんな顔もするんだ。
「霧野に修正を依頼するのはいいですけど、ちゃんとチェックぐらいするといいですよ」
「……相馬ぁ!」
「いいですから、私やりますから!」
耐えられなくなって口を挟んだ。
フロア中がこっちに注目していた。
相馬の手から資料を奪いながら、部長が納得しそうな返事を探す。
波風を立てたくない。早く終わらせたい。
部長を宥めることが今は最優先だ。
「データを今年のものに差し替えてぜんぶ作り直します。いつまでですか?」
「……そうだな」
部長の目がじとりと私を見下ろす。身が竦む視線。
「今日中に送ってくれ」
「今日、」