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第14章 予定外

「金曜のあのデータ、どこから取ってきたんだ？」

「ど、どこからっていうか……部長にこれで作れってまるごと渡されて……足りない分は、私が探してきたけど、年次は合わせて……」

　はぁ！？　と相馬が声を出す。
そこまで大きい声ではなかったけれど、今の状況ではやけに響いた。


「じゃあぜんぶあのおっさんじゃん！」

　大袈裟なため息をつきながら、

「しゃーねーな……霧野、」

　ひゅ、と握ったこぶしを振り上げる。思わず身を竦める。



「じゃんけん」

　あ、なんだ、じゃんけんか。私も慌ててこぶしを出した。

「最初はグー、じゃんけんぽん」



　静まり返った部屋に、相馬の場違いなコールが響き、私は訳もわからないままじゃんけんで負けた。

「よっし！　じゃあ霧野、資料室担当な」

　え？

「俺は自分のパソコンで出せるデータ出すから、霧野は資料室行ってきてくれ。やったー、あのパソコン、自分のと微妙に違って面倒くさいんだよなー」