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第14章 予定外



 うちの会社には、セキュリティ的に、資料室にある特別なパソコンからでないとアクセスできないデータベースがある。

「……ありがとう」

 相馬は何も言わずに、しっしっと追い払うような仕草をした。



 私は資料とメモと社用スマホだけ持って、部屋を出た。

相馬が私をあの空気から逃がすために、資料室に行かせたのはわかっていた。
たぶん私がじゃんけんに勝っていたら、資料室行くのレアだから譲ってやるとか何とか適当に言ったんだろう。



 ――そういうとこよ、ほんと。



 相手が誰であろうと、絶賛気まずい中の私であろうと、優しくしてくれるのは、相馬が優しい人だから? それとも、仕事だから?

相馬のそういうところ、人として本当に尊敬している。し、そういうところが――



 出そうになったため息を、ここは会社だと呑み込んで、私は資料室のパソコンを起動した。


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