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第17章 顔色



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 近くの少人数用の会議室に相馬を押し込んで、使用中のフダを掛けて扉を閉める。

「ずいぶん大胆じゃない?」

 相馬が手近な椅子に座りながらにやりと笑う。
それは、いつものように私をからかう笑みにも、相反して自嘲のようにも見えた。



「大胆?」

「自分を二度も襲った男と密室でふたりきりになるなんて」

「……そんなふうに思ってないよ」



 口ではそう言いつつ、一昨日逃げ帰ってしまった自分のほうが分が悪いことはわかっていた。
相馬は足を組んでテーブルに頬杖をついて、ふーん、と訝しげに相槌を打った。
私の手首はまだカーディガンを脱げる状態にはなっていなかった。



「で? ふたりきりで何の話がしたいって?」

「話……も、ちゃんとしなきゃいけないと思ってたけど。謝らなきゃいけないのはわかってるんだけど」



 何か言いかけた相馬を遮って先を続ける。

「とりあえず今は時間ないから、顔だけ触らせてもらえませんか」

「……顔?」


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