この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第19章 軽口
そういう軽口を叩かれるのは、珍しいことじゃない。
お礼はキスでいいよとか、ハグしてくれたら手伝ってあげてもいいよとか。
もちろんしたことはないし、相馬だって冗談で言っているのはわかっている。
セクハラ言ってもいい相手だと認識されているのは癪だけれど――
「嫌じゃないならできるよなあ」
何だかいつもとはちょっと雰囲気が違う気がした。
本気でするだなんて、されるだなんて思っていないいつもの冗談と違って、本当に――
しちゃう?
魔が差した、と言ってもいい。
大人しく目を閉じている相馬の頬に、私は顔を近づけて、唇を触れさせた。
あ、これ、やばい。
寝てる相馬にこっそりとかじゃなくて、ちゃんと許可もらって――
かっと頬が熱くなる。けれど、もう遅い。
私、相馬にキス、しちゃった。とうとう。