この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第20章 駐車場
「俺は、三年来の恋に破れて、今そこそこに心弱ってるんすよ」
三年来、という言葉にどきっとする。
私がチームを移動して相馬と知り合ったのが去年の春。
ということは……私と知り合ってからの、二倍。
敵いそうもない。
「霧野だってそこんとこ、もうちょっと気ぃ遣ってくれてもいいんじゃないの?」
知らないよそんなの、と思った。
相馬が私の知らないところで勝手に傷ついているのは――そりゃ同情ぐらいはするけれど、――私には、関係ない。
私は、相馬に傷ついているというのに。
「そんなの相馬の事情じゃん」
「確かに俺の事情だけど、霧野が言動を改めてくれないんだったら、俺はやっぱ人事行くしかなくなるよって話。それは霧野も嫌なんだろ?」
人事に――物理的に距離を置くために、仕事と信頼と社会的地位を捨てる、ということか。
普通、そこまでする? 相手側が訴えたんじゃあるまいし。