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第20章 駐車場



「俺だってさすがにキツいんすよ。平気で家についてこられたり、キスされたり、嫌じゃないとか言われたりしたら」

 相馬がコーヒーを飲む口元を、私は眺めながらその声を聞く。



 それって……それって、さ。男子ってみんなそんなもんなのかな。
失恋直後でも、別の女に体だけあげるよって言われたら、我慢し切れないもんなのかな。

それとも、ごくごく一部の性欲強い男子だけ? 

それとも――勝手に、片想いの相手に振られたんだと思っていたけれど、もしかしたら、お付き合いしてた彼女に振られたのかもしれない。
で、そういうことする相手がいなくなって、欲求不満が溜まって――。



「もうちょっと考えてくれてもいいと思わない? 知らない仲ってわけじゃないんだし」

 そりゃ、知らない仲ではないけれど、

「セックスまでした仲なんだし?」

「……ばか」

 誰か聞いてたらどうするんだ。
慌てて周りを見渡すけれど、幸い、やはり人影はなかった。


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