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第21章 軛



 ごはんを食べているあいだも、相馬の家に向かうあいだも、二人とも言葉少なだった。

夏の午後六時半はまだまだ明るくて、いつもなら当たり前に仕事をしているころなのに、時間間隔が狂いそうになる。

 混乱する。

そもそもどうしてこうなったんだっけ。
断るつもりでいたはずなのに、いつの間にか、相馬の家の廊下で、後ろから相馬に腕ごと抱き締められて動きを封じられている。

彼のため息が、首筋をくすぐる。



「……ちょっと、相馬」

 スカート越しでもおしりに、存在感のあるものがぐっと押しつけられているのを感じた。

「速くない?」



 その空気の変化についていけなくて、中和するべく茶化したつもりだったけれど、

「うっせ」

 相馬は動じなかった。


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