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第22章 本心



指先でそろりそろりと柱部分を撫でていると、突然、相馬がその手をつかんだ。

「タンマ」



 思わず見上げると、目が合った。

「拭くわ」

「拭く?」

「汚いっしょ」



 相馬は、膝に引っ掛かった衣類を靴下と一緒に乱暴に脱ぎ去って、私と壁のあいだから抜け出す。

膝立ち状態で抜け殻の前に取り残された私が我に返ったときには、相馬は部屋に入ってウエットティッシュをぽいとゴミ箱に捨てるところだった。
リモコンでエアコンをつけて――そういえば忘れていた――私の手を引いて、ベッドに座る。

私は相馬の足の間に膝をついて座る。



 相馬が自らワイシャツのボタンの下のほうを外していく。
中はぴったりとしたTシャツを着ていた。
引き締まった体のラインが浮いている。
自分の貧相な体が恥ずかしくなる。

 けれど、どれだけ痩せっぽっちでも、一応女は女らしい。
つい先週は、家に上がってもいいものか警戒する私を、鼻で笑っていた癖に。



一度ヤれる認定されてしまえば――これだもの。



 大きく膨らんで性欲を主張するそれが、急に忌々しくなってくる。

 本当、男っていうのは――くだらない生き物だ。


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