この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第23章 口元
「霧野っ、ごめん、出るっ!」
いいよ、出して、と言いたかったけれど口が塞がっていたので、私はぎゅっと唇に力を入れて答えにした。
口から引き抜こうとする相馬の腰を抑えて、咥え込む。
だって、顔とか服に出されたら、大変なことだ。
お風呂に入ってお洗濯しないと帰れなくなる。
だったら口の中のほうがまだまし。
そう思って、白くて苦い液を口で受け止めたけれど、量が多くて一部飲み込んでしまった。
それでも溢れた液体が、口の端から伝う。
やがて相馬の動きが止まって、私の上で四つん這いになって息を荒らげている構図ができあがった。
「……ごめん、霧野、大丈夫?」
相馬が私の上から退く。私は口の中がいっぱいなので、返事ができない。
「洗面所行こっか」
相馬がベッドから降りて、私が起き上がるのを手伝う。
飲めと言われなくてよかった。
飲んだら男の人は嬉しいらしいけれど――おなか痛くなったら嫌だし。
明日も仕事だし。
……自分のこと好きでもない男のを、わざわざ飲んでやる義理もない、し。