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第25章 台詞



「シャワー、浴びる?」

「ううん、大丈夫」

 お風呂なんて借りたら、そのままずるずると流されるに決まってる。
鞄の中に汗拭きシートがあるから、最低限は何とかしよう。
服は……もうとっくに汗臭いだろうけど、仕方がない。
極力混んでいない電車を探して帰るしかない。



 相馬が誰にでも優しいのは、いいことだ。
別に、文句とかはない。

私はただ、相馬との約束どおり、泣いたり怒ったりしないで帰るだけ。

 さっきまで甲高い声であんあん喘いでいたことが、顔から火が出るほど恥ずかしい。
もう二度としない。
あれ、先週の金曜日にも同じこと思わなかったっけ。
こんな単純なことすら学べないなんて。



 脱いだ服で身体の前面をできるだけ隠しながら、廊下に出て、玄関に放置された鞄の脇にしゃがむ。
汗拭きシートを探していると、すっと脇からスカートを差し出された。
見上げると、パンツだけ身につけた相馬が立っていた。



「あ、ありが……」

 スカートの布面積が多かったせいで気づくのが遅れた。
スカートと一緒に、ぐずぐずに濡れた下着も、

「………っ」

 まるで掻っ攫うように相馬の手からそれらを奪う。相馬に背を向ける。



「ご、ごめん、ありがと!」

「……今さらそんな恥ずかしがらなくても。俺はガワより中身のほうが好みだよ」

 うるさいうるさいうるさい! デリカシーのない奴!


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