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第25章 台詞



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 送っていく、と言い張る相馬を断り切ることができなくて、うちドア薄いから、玄関口で揉めると近所迷惑だと言う相馬に言い返すことができなくて、私たちは連れ立ってアパートを出た。

 わざわざついてきたというのに、相馬は特に会話をするわけでもなく、無言で私の隣を歩くだけだった。



 駅までの道を静かに歩く。



 相馬をちらりと伺う。両手を腰のポケットに引っ掛けたまま、足元を見ながら歩いている。
相馬の顔はコンシーラーが完全に取れていて、クマがありありと浮かんでいた。
疲れているように見えた。
お化粧直しの時間がなかった私も、たぶん似たような顔をしているんだろうと思いながら、視線を自分の足元に移して黙って歩いた。



 会社から駅までの道に合流するところで、

「もういいよ、ありがとう。こっから先は、その……」

 会社の人に見られたら嫌だし。というのは、言わずとも流石に察されたらしい。



「……だよな」

 相馬は、へら、と笑って、

「じゃあ、お疲れ。遅くまでごめんね」


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