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第4章 視線



廊下のドアを全開にして、その裏に体を隠していた霧野が肩を縮めた。
俺はその姿を見て固まった。



「……霧野」

 一瞬のうちに、言いたいことと聞きたいことが無限に頭の中を駆け巡り、

「……なんつー格好してんだよ」

 出てきたのはそんな、意味のない言葉だけだった。



「だからいいって言ったのに……」

 霧野が俯いて、彼女には少し大きすぎたシャツの裾をぎゅっと握って引き下げた。
普段の仕事の服でも、あんまり大きいほうではないことはわかっていたけれど、だからって、そんなにはっきり形が出るほど押しつけられたら、ゼロではない女性特有のラインが浮かぶ。
なだらかな丘が、ふたつ。

 しかしもっと衝撃的だったのは――シャツの裾からは、細い足が二本、床まで伸びていた。
滑らかで、細さに反して柔らかそうな――



「えっ、え……俺、下も置いたよな?」

「あった。けど、ノーパンで履くのは忍びなくて」

 彼女の口から出た単語に、いや、待て、おい、お前今なんつった!?


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