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unbalance
第29章 約束
『いいよ。ここから家帰るまでに、どうせ会社の最寄り通過するから、そこで』
会社の最寄り、もとい、相馬の家の最寄り駅。
九時ごろに着くとだけ送って、私はスマホを閉じた。
何か通知が鳴ったけれど、どうせ相馬からの、了解の返事だろう。
真っ暗な車窓に自分の顔が反射しているのを見つめながら、深呼吸する。
これで最後なら――最後にもう一度だけ、なんて。
いけないのはわかっているのに、そんなことを思ってしまう自分にほとほと呆れて、深呼吸ついでにため息を吐いた。