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unbalance
第30章 個室
「同期の中から一位が出たって聞いて、どんな奴だか気になって見に行ったんだよね」
……嫌な目立ちかたをしてしまったな。悔やんでも仕方ないけれど。
「まあ、その前から噂は聞いてたんだけど。すごい資料作ってめっちゃ成績伸ばしてる女の子がいるって。
実はうちのチームでも、割と早いうちから、引き抜きたいって話出てたし。
見習えって言って資料回ってきたり」
いやいや、それ私聞いてないですけど。
本人が知らないところで私の資料、回覧されてたの?
「その子に資料作ってもらえば必ず勝てるとか」
「そんな、ラッキーアイテムみたいな……」
「すげえ残業してるらしいって話も一緒に聞いてたけど」
……それは輪をかけて噂になってほしくなかった。
「だから、正直冷やかしというか……あんまりよくない気持ちで野次馬しに行って」
「よくない気持ち?」
「……どうせ、生真面目でお固くてつまんねー仕事人間なんだろうな、みたいな……」