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unbalance
第30章 個室
「生真面目でお固い、つまんねー仕事人間だったでしょ」
相馬自身がかつて、私のことをそう評したのを私は知っている。
はずなのに、
「生真面目で賢くてすげえ可愛い子がいた」
相馬の言葉は百八十度逆で、
「それからちょいちょい用事作ってはそっちの部屋行って観察して、見てれば見てるほどハマってって」
ぜんぜん気づかなかった。よく来る人だなとは思ってたけど。
「資料がめっちゃ優秀なのはもうわかってるとして、こんな残業してるのに、嫌な顔ひとつしないところとか、ぜんぜん疲れ見せないところとか。
毎朝ちゃんとメイクして、可愛い髪型して、いつも同じじゃない服着て来てさ。
ぜんぜん手抜き感が見えねえの」
こいつ、人のお化粧とか服とかそんなチェックしてんの?
油断も隙もあったもんじゃない。