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第31章 ラフロイグ



 返事が気になってそわそわ、なんて甘いものではなかった。
本当に、限界、という言葉が似つかわしいような、やつれた顔。
両肘をテーブルについて、両手で顔を覆ってため息をつく。



「なあ、霧野って誰とでも寝られるタイプ?」



 視界に映る相馬のポーズは変わらないのに、私の身体がびくっと体が跳ねたのは、テーブルの下で、相馬が私と脚を絡めたから。



 急な質問に戸惑っていると、相馬が返事も聞かずに続けた。

「今、彼氏とかいないんだろ? だったら一旦俺と付き合いません?」

 脚の触れ合った部分が熱い。私は身動きが取れない。



「もう、怖いことしないからさ、ぜったい」

 それとももう手後れ? と遠慮がちに聞く相馬に、どう答えればいいかわからなくなって、私は目を泳がせる。



 なになになに、急に空気変えないでよ。
何その聞きかた。

私の気持ちなんてお見通しなんじゃなかったの? 

私がのこのこやってきた時点で、もう相馬の手の内なんじゃないの?


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