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unbalance
第4章 視線



 そりゃ確かに、胸はぺったんこだけれど、霧野は恐らく元来華奢なタイプなのだろう、折れそうな腕、俺の腕ぐらいの太さしかない太もも、ぜったいに男ではない。
こんなに細いのに血管や筋肉が浮いていないつるんとした肌。
ウエストはだぼだぼのシャツに覆われていてわからないけれど、腰骨のコントラストは、はっきりと服の上から見て取れる。



 ――下手に襲ったら壊してしまいそうだ。

 どういうつもりでそんなこと言うんだよ。



誘っているのかと思ったけれど、そういうわけでもない、のか? 

何を考えてるのかわからない、いったい、こいつは――こいつは俺をそういう対象として見ていないから、そんな可能性これっぽっちも考えていないから、だから平気で、こんな格好ができる、ということか。



 ……思いのほか、凹むな。



 俺は強制的に彼女の身体から視線を剥がして俯いた。

 いいよ、もう。彼女が家にほいほいついてきた時点で、わかっていたことじゃないか。


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