この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第33章 コスモポリタン

私は鏡で最終確認をして、ポーチを仕舞う。
相馬が残りのウイスキーを煽った。
「相馬……ペース早くない? 大丈夫?」
「大丈夫じゃねえよばーか」
脈絡も中身もない悪口が飛んできた。え、なに急に。
すぐにマスターさんが来て、相馬は、ウイスキーの銘柄を指定してハイボールを頼んだ。
「普通にいつもの感じで作っていい? 弱めにしとく?」
「いつも通りで大丈夫です」
マスターさんは相馬をちょっと心配そうに見たけれど、何も口を挟まなかった。
「彼女さんは?」
急に話を振られてビビる。
頼むつもりじゃなかったけど、でも、今頼めば来るまでには飲み干せるかもな。
相馬ばっかお酒頼んで、一人で酔いが醒めるのも怖いし……。
二杯目、頼んじゃおっかな。
でも、どれにするかとか考えてなかったし……。
咄嗟に相馬を見てしまう。
相馬は少し首を傾げて、
「お任せしてみる?」
「あ、お、お任せ……」
したことない、けど、その言葉は、何だか「通」っぽくて、ちょっと相馬のいるステージに近づける気がした。

