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第33章 コスモポリタン



「好みとかある?」

 マスターさんが私に聞く。

「甘いのが好きとか、すっきりしたのが好きとか」



「じゃ、じゃあ……」

 たぶん、酔って気が大きくなっていた。

 もしかしたら、ひとしきり泣いて、胸のつかえを相馬に曝け出して、ヤケになっていたのかもしれない。

「なんか強くて飲みやすいやつ、お願いします!」



 マスターさんは笑って、

「女の子自らレディキラーを頼むかあ」

 レディキラー? 何それ? 
お酒弱い女の子は死んじゃうってこと? 
それって性差別だと思います! 
お酒強い女も、お酒弱い男子もいるよ!



 相馬が横から嘴を挟む。

「弱めに作ってやってください。こいつそんなに強くないんで」

「失礼な。私だって飲めるし」

「こないだはビール二缶で泥酔してたじゃん。ここ来る前にももう飲んできたんだろ? 無理すんなって」



「あ……の日はちょっと疲れてたの! あと、接待でお酒飲むの楽しくないから最初のビール一杯しか飲んでない! 三時間も前!」



 私が相馬に歯向かうのを聞いて、マスターさんが、あーそれくらいね、と一人で納得して去っていった。


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