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第34章 ロングアイランドアイスティー



「その……俺の心ない言葉で霧野がずっと引っ掛かってたなら、それは、悪かったよ」

 相馬はこちらを見ないまま言った。



「あの飲み会のあと、何人かの人に声掛けられた」

「……なんて?」

「『お前、霧野のこと好きだろ。焦りすぎてバレバレだったよ』……って」



 ……嘘……。



「人が努力して忘れてた黒歴史を掘り返しやがってよお」

 相馬が悪態をつきながら、ハイボールを煽る。



 何人かに声掛けられたって……一人二人じゃないってこと? 
え、それじゃ、うちのチームの半分ぐらいの人が、相馬が私を好きって知ってるってことになっちゃいません?



「できれば忘れてほしいんだけど。俺としても恥ずかしい失敗談なので」

 そっぽ向いたままの相馬の顔が赤いのは、きっとお酒のせいだけじゃない。



「……へーえ」

 ちょっと意地悪を言いたかった。

「焦っちゃったんだ? みんなの前で、急に私が話題に出てきて」


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