この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
unbalance
第34章 ロングアイランドアイスティー



そのまま、グラスを握った私の両手を上から包む。

 今なら確信をもってわかる。冷たいグラスを握っていたから、だけではない、冷たい手。
握るまでいかず、ただそっと添えられたその手は強張っていて、相馬の緊張が私に伝わる。



「さっきも言ったけど、俺は一回霧野にはっきり振られてる」

 う、……それを言われると、

「あと、二、三回は泣かれてる」

「そ、それは」

「怪我もさせてるし」



 その苦々しい顔は確かに演技ではなかった。

「……怪我なんて大層なものじゃ……」

 相馬の左手が僅かに動き、触れるか触れないかぐらい微かな力加減で、私の右手の甲を撫でる。



私が右手をグラスから離すと、相馬が、見ていい? と小さく聞いた。
両手を私の右手に添えて、カーディガンをゆっくり捲る。
私はただじっとしていた。

もうほとんど目に留まらないほど薄くなったあざの名残を、そのあざをつけた相馬の指が、丁寧になぞる。

あのときと違って怖くない。

手首の内側、皮膚が薄いところに彼が触れる。
敏感になっているのは、たぶんお酒のせい。きゅ、と、関係ないはずの下腹部が締まった感覚がした。
じん、と体の芯が熱くなる。



「ん……そ、相馬、……っ」


/377ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ