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unbalance
第35章 コンビニ

「帰るぞ」
店を出て、霧野の手の片方を取った。
「え、あ、ちょっ、手……っ」
霧野が目を泳がせる。
「いいだろ、もう付き合ってんだから」
「あ、う、うん、」
こわごわと、霧野が弱い力で俺の手を握り返す。
だから!
もう散々やることやったあとなのに、そんな中学生みたいな反応するのやめてくれ。抱き締めたくなる。
いや、我慢だ我慢……今日は何もしないと決めたのだ。
俺は霧野の手を引いて歩き出した、のだけれど。
……あー、無理かも、これ。
そこの角を曲がれば少し大きい明るい道に出て、コンビニまではもうすぐだ。
俺は足を止めた。
肩を縮めて俺の斜め後ろをとぼとぼ付き従っていた霧野が、一緒に立ち止まって俺を見上げる。
「どうしたの?」
「あ……のさ」
霧野の不安げな目に、俺は迷う。
「何もしない……ってさっき言ったけど」
「う、うん、」
「キスだけなら許される?」

