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第35章 コンビニ



 慌てて何か言おうとした霧野を、「ごめん」の一言で黙らせる。
霧野の後頭部を俺の肩に埋めさせて、もう片方の手は背中に回した。



「ちょっとだけ。大丈夫、誰も見てない」

 霧野はまだ俺の肩口でもごもご言っていたけど、やがて大人しくなった。



 背中に添えた手をそっと動かす。

 薄いブラウス越しに、霧野の浅い呼吸がはっきりわかる。
華奢な肩甲骨の下あたりを、ブラの布が横切っている。
ホックを外してやりたい衝動に駆られたけれど、さすがに怒られると思ってやめた。



 代わりに、手をずっと下ろしていく。
霧野によく似合うロングスカートに手が触れて、そして丸くて柔らかいおしりに行き当たる。

このおしりがどんなにエロくてどんなに気持ちいいか、職場の奴らは誰も知らない。
教えてやる気もない。
俺だけが気づいていて、俺だけが触るのを許されて――



「相馬……っ、それは、だめ、」

 霧野がか細い声で、それでもはっきりとそう言って、ふるふると首を振った。



「ごめん」

 触るのは別に許されていなかったらしい。
そりゃそうだ。
俺はすぐに手を離して背中に戻した。


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