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第36章 歯磨き



「歯磨き……」

 相変わらず眠そうに、相馬がのそのそと起き上がる。

「霧野とキスしたいもんな……」

「も、もう寝るんでしょ」

「キスまではいいんでしょ?」



 相馬がベッドのふちに足を下ろして、重たそうに体を起こし、こちらに手を伸ばした。
私の頬に触れる。

「霧野、すっぴんだ」

「あ、こ、これは」



 私が言い訳をする前に、

「可愛い」

 そのひとことに、すべてを封じ込められる。



「霧野」

 相馬に肩を引き寄せられ、せっかく起き上がったのに、二人でベッドに倒れ込む。



「ちょ、ちょっと」

 相馬の上に完全に体重を預けてしまって、慌てて身を起こすと、

「霧野、軽すぎん? ちゃんと食べてる?」

 相馬が両手で私の体を――ちょっと! どこ触ってんの!



 ベッドから離れようとしたけれど、相馬がそれを許さなかった。
私をぐっと引き寄せて、またベッドの上に転がって、抱き締める。



「霧野」



 あ、相馬――勃って、る。


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