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第36章 歯磨き



 相馬はすぐに私の舌を迎え入れてくれて、自分の舌で、優しく舐めてくれる。
ざり、と二人の舌が絡み合って、相馬がふふっと笑った。

「歯磨き粉のにおいがする」



 相馬――余裕あんじゃん。

 ずるい。ずるいずるい。



「そう、ま、」

 キスの合間に私は何とか声を掛けた。
相馬にこっちを見てほしい。もっと夢中になってほしい。



「もっと……っ」



 一瞬、相馬の息が止まった。
かと思ったら、相馬がぐっと身を乗り出して、私に半分被さるように、舌を深く突っ込んだ。



「んふっ……」

「キスのとき声出るの、ほんと可愛い」

 だめ、そういうこと言われると、意識しちゃうから……っ、

「ふ、あ、」

「可愛い」



 私に馬乗りになるように、相馬が私の脚を跨いで、仰向けに転がして、深く、深くキスをする。
私の舌を吸い上げたかと思うと、自分の舌を、細くして私の口内に抜き差しする。



 まるで――舌で、えっちなことしてるみたいに。


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