この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第36章 歯磨き

「デート、行きたいとこある?」
デート。
「いいよ、そんな、今さら」
そんなピュアな段階は、私たち、とっくに通り越しちゃったじゃない。
「霧野は、俺と出掛けたくない?」
「そういうわけじゃないけど、」
「俺といるところを見られたくない?
それとも、俺にセッスク以外で時間を使いたくない?」
「違うって!」
私のおなかに回された相馬の腕を、ぎゅっと握って言葉を止めさせる。
「ただ……私、相馬みたいなアクティブな遊びできないから……」
相馬がふだんどんな休日を過ごしているかなんて知らないけれど、きっと私とはぜんぜん違うんだろう。
ここしばらく、休日なんて、睡眠負債を返して、掃除と洗濯とごはんの作り置きをしたら精一杯だ。
遊び、と言われて思いつくことすらない。悲しいことに。

