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第5章 麦酒



 相馬の部屋は狭い1Kだった。
こんな立地に住んでいるのだ、お風呂と別で洗面所がついているだけ上出来だろう。
居室にはローテーブルとベッドと、パソコンデスクと少しの棚。
本棚に、ビジネス書っぽい本が並んでいる。

イマドキな若者、本とか読めませんって風貌なのに、意外と真面目に勉強してるんだな。
そりゃそうか、あれだけの成績収めてるんだもの。

なんて失礼なことを考えながら、まずはブラを何とか乾かしきる。
あとは、メイク落としがなかったので落ちたような落ちていないようなメイクを、手持ちのお化粧直しの手札だけで何とか均して、そうこうしている間にうねり始めてしまった髪を乾かす。



 髪が乾く前に、相馬は戻ってきた。
不本意ながら緊張してしまった。

「おっおかえり。早いね」

「そう?」

 相馬は片手で髪をがしがし拭きながら、腹減ったな、ともう片手で、ローテーブルに並べてあったコンビニごはんをひとつ取ってレンジに入れた。
何でもない相馬の態度にほっとした。
さっきのことなんて、まるでなかったかのようだった。
廊下にある小さなキッチンは、よく言えば清潔で、見方を変えれば、あまり使っている気配がなかった。


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