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第39章 熱



「悪かったよ。調子乗りすぎたと思ってる」

「違う違う」

 私はちょっと笑って目尻を拭った。



「昨日は……うん、でもまあ、もうちょっと手加減はしてほしかったけど……」

 相馬が素直に頭を下げる。

「でも、違うの、大丈夫。何でもない」



「霧野の大丈夫はあんま信頼できないな」

 相馬がむくれる。



「ほんとだって。ちょっと、その……安心した……というか……」

「……何? 俺がいなくて寂しくなっちゃった?」



 否定できなかった私が俯くと、
――しばし沈黙があって、相馬が私の肩に額を乗せた。

 ため息とともに、



「可愛すぎる……」

「う、うっさ、」

 相馬がそっと私に顔を近づけた。恐る恐る目を閉じると、唇に柔らかいものが触れる。



「このまま襲いたいとこですが」

 そんな相馬の言葉に、もう体力は残っていないはずなのに、昨夜の快感の余韻が勝手にまた相馬を欲しがるから――タチが悪い。

「……勘弁してください」

「だよなあ」



 相馬が立ち上がって、ドアのところに取り残されていたレジ袋を拾いにいった。


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