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unbalance
第40章 泡

「ど、どうしても……?」
あの人、口軽そうだしなあ、と、よく知りもしないのに思う。
プライベートな話をあんまりしたことないのに、こんな偏見よくないってのはわかってるけど……。
そもそも職場でプライベートな話なんてしたこと、なかったよ、相馬とこうなった以外。
「というか……その……悪いんだけど、割ともう話してるというか……」
「え、」
思わず相馬を振り返る。
相馬がタオルの向こうでどんな目をしているのかわからない。
「いや、先輩に、俺が霧野のこと好きだってバレてるってのはもう話したじゃん」
そういう、話だった。
「あんま霧野に言うのもあれだけど……今週まじでちょっとしんどくて……いろいろ聞いてもらってて……結果報告ぐらいは義理かなと……」
……そう言われてしまうと、こちらとしては何も言えない。
いろいろ、って、いったいどこまで話してしまったのかは気になるところだけれど――私が踏み込める領域ではないだろう。
私が、相馬をしんどくしたのだ。
「……ちゃんと、口止めしてね」
「それは、もちろん」
相馬が私を抱き締めたまま体を動かすと、ぬる、と素肌と素肌が滑った。
「ごめんね」
「私こそ、ごめん」
「ん……いや、この話、もうこれで終わりにしようぜ」
「……うん」
意味なく引きずらないところも、相馬は、上手いんだろうな。

