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第6章 睡魔



社内では花形と言われている今のチームに転属させられたのは、去年の春だ。
隣の部屋に移るだけなのに、前のチームのメンバーが送別会を開いてくれた。
先輩が実は笑顔の裏で、こんな奴がと思っているんじゃないかと気が気でなくて、息苦しいだけの時間だった。



 当時から自分の資料作りと人から頼まれた資料作りであっぷあっぷだった。
これ以上忙しくなるのが怖くて、転属自体もあまり嬉しくはなかった。
そして、その恐怖は今、見事に的中している。



「別に、向いてないってことないだろ。実績出してるんだし」

「残業すればたくさん仕事ができるのは当たり前でしょ」

 それってぜんぜんすごくもないし、褒められない。

「相馬が私と同じぐらいの時間働けば、私なんて簡単に追い抜くよ」



 ちなみに、相馬は新人のときからずっとこのチームに所属している。
研修中の、上からの覚えがよかったのだろう。

そして相馬を選んだ上司たちは、大正解だったということになる。
毎日定時になった瞬間に爆速で帰りながら、営業成績二位をキープしているのだから。


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