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第6章 睡魔



「二位で、毎日定時で帰るほうが、よっぽど当てつけだと思うけど?」



 そう言うと、相馬はちょっと考えて、

「霧野がこんだけ頑張ってて俺まで残業し出したら、三位以下の人みんな残業しなきゃいけなくなっちゃうだろ。残業すれば成績が上がるとは、思われたくないじゃん?」



 ……へえ。意外と考えてるんだな。相馬の癖に。

「確かにね」

 私が素直に認めると、相馬はへら、と笑った。



「まあ、俺が霧野ぐらい残業してたら一位取る前に嫌んなって辞めてるだろうってのが正直なとこだけどね。そこを踏ん張って続けてる霧野は、すごいと思うよ」



 何、それ。
急に褒めないでよ。
褒められても――嬉しくないことを。

「断れないだけだよ」



 リラックスしすぎている、とちらりと思った。


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