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unbalance
第6章 睡魔
「そろそろ寝たらって」
寝たら? そう言ったの……?
「んー……寝ない……」
「お前疲れてんだよ。今週も残業多かったんだろ」
そうだった。
だから今日は珍しく早く帰って寝ようと思って、お仕事頑張ってたのに。
酷いよね、帰る直前にあんな仕事頼むなんて。
「なあ、もう寝ろよ」
相馬が私の手から空になった缶をそっと取り上げる。
ぎりぎり理性を繋いでくれていたそれを奪われて、私はその場に横たわった。
「あ、おい、霧野」
床に耳をつけて横たわると、人の足音がよく聞こえた。
私が倒れ込むのと入れ違いに相馬が立ち上がったらしい。
重い瞼を微かに開けると、テーブルの下から相馬の裸足が見えた。
私はまたすぐに目を閉じた。
「そこじゃなくて、ベッド上がって」
「んん……いい、ここで……」
「女、床で寝かせられっかよ」
へぇー……私のこと女なんて思ってない癖に。
「相馬のベッドだもん……」
「俺はいいよ、そのへんで寝るから」
それはだめだ。
残業を手伝わせて、家にあげてもらって、お風呂貸してもらって、そのうえ、そのへんで寝させるなんて。
そのへん? そのへんって、どのへん?