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第9章 同意



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 目を閉じて、息を整えていた。
気づけば汗だくになっていた。
霧野の上に雫を落としてはいけないと、腕で額を拭う。

霧野は大丈夫だろうか。
いや、大丈夫じゃないかもしれない。
無理をさせたんじゃないだろうか。

俺は目を開けて、霧野を見た。
彼女は片腕で目元を覆っていた。
やっぱり恥ずかしいのだろうか。
Tシャツをいつの間にか引っ張り下ろして、胸を元通り隠していた。

静かに浅く呼吸をしている、霧野が愛しかった。



「……霧野」

 返事はなかった。
彼女が目元を隠したまま、ちょっと顔を背けた。



 霧野?



 俺はもう動いていないのに、彼女の声が一瞬、小さく漏れ聞こえた。

それは、喘ぎ声ではなくて、まるで嗚咽のように聞こえて――


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