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第9章 同意



 彼女が嫌かどうかちゃんと確認しないで、
恥ずかしがっているだけだなんて都合のいい解釈をつけて、
俺は、彼女に、酷いことを――、



「……ごめん、俺……」

「だから、なんでもないって!」

 彼女が怒ったように、大きい声で俺の台詞を遮った。
泣き叫ぶような悲痛な響きに聞こえて、俺はもう取り返しがつかないことを悟った。

「ごめん……」

「ごめんなさい、ほんとに、大丈夫だから、なんでもないから、」

 馬鹿馬鹿しいほど薄っぺらい言葉だった。



「無理しなくていい。ごめんな」

 我に返って、彼女の中から自分自身を抜く。
萎れ切っていたけれど、幸い中身は漏れていなかった。

あまり触ってほしくないかもしれないとは思いながら、ウエットティッシュを取ってきて、彼女を最低限拭き取って、それからどうすればいいかわからなくなって、とりあえずブランケットをかけた。

 昨晩俺が使ったブランケットで、嫌かもしれないけれど。
俺の前に裸を晒しているよりマシだろう。


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