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第9章 同意



 彼女の脱ぎ散らかされたパンツとスウェットは、彼女の手の届くところに畳んで置く。
その間彼女は布団に伏せって、時折肩を震わせて、決して顔を上げなかった。

 抱き締めてやりたかった。
背中をさすってやりたかった。
元凶の俺にこれ以上触られたいわけがないと思って、やめておいた。



 自分自身も綺麗にして、ゴミはぜんぶまとめて縛って捨てて、ため息をつくぐらいの時間が過ぎても、彼女は顔を上げなかった。

「……霧野」

「ごめんなさ、」

「謝ってほしいわけじゃないんだけど」

 彼女の声は切れ切れで、布団に吸い込まれて小さくくぐもっていた。



「その……悪かった、ほんとに」

「相馬は悪くない、から」

 それはまあ、部分的にはそう思う。
始めたのは彼女だし、好きな子にそこまでされたら男なら我慢できなくなって当然だとは思う。



 実際、どうなんだろう。
彼女のほうから誘ってきた――と俺は思っている。
正直、あんな誘いかたしてくる奴だとは意外だった。もっと真面目で潔癖な奴だと思っていたから――それは、まあ、男としては嬉しい誤算ではあったのだけれど――でも、いざとなると恥ずかしがったり、慣れていない様子だったり……泣き出したり。


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