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第10章 夢想



 霧野が避難しにきて……思い出したくないし、できれば夢の中のできごとだったことにしたいけれど、泣くほど嫌なことを霧野にしてしまって。
そうだ。思い出してきた。



 だとすると、俺は今なんて都合のいい夢を見ていたんだ。
現実逃避の反動だろうか? 
あー、かっこわる……。



こういう願望丸出しの夢は前にも見たことがあったけれど、今のはやけにリアルで、そして夢を見ながら夢だとわかるのは、俺にははじめての体験だった。



さっきの嫌な予感の正体に思い至る。
片付けるの面倒だな。
カーペットまで漏れてないといいが。

俺は情けなくため息をつきながら、腕の中の霧野を抱き締めた。



 ……え?


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