この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
unbalance
第10章 夢想
霧野が避難しにきて……思い出したくないし、できれば夢の中のできごとだったことにしたいけれど、泣くほど嫌なことを霧野にしてしまって。
そうだ。思い出してきた。
だとすると、俺は今なんて都合のいい夢を見ていたんだ。
現実逃避の反動だろうか?
あー、かっこわる……。
こういう願望丸出しの夢は前にも見たことがあったけれど、今のはやけにリアルで、そして夢を見ながら夢だとわかるのは、俺にははじめての体験だった。
さっきの嫌な予感の正体に思い至る。
片付けるの面倒だな。
カーペットまで漏れてないといいが。
俺は情けなくため息をつきながら、腕の中の霧野を抱き締めた。
……え?