この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
unbalance
第11章 奇跡



 私は鞄から付箋を取り出すと、昨夜の感謝と、謝罪と、家に帰るということを短く書き置いた。

 黙って出ていくなんてどんな酷い奴だと我ながら思うけれど、それでも、これが今私に取れる最良の選択だ。
私のためにも、相馬のためにも。
ごめん、わかって。



 テーブルの上を軽く片付けて――空になったお惣菜のパックをまとめて、空き缶を洗う程度だけど――テーブルの目立つところに付箋を貼り、
カバンを持って、忘れものをチェックして、部屋の中を見渡して、
やることがなくなってしまったことにがっかりしながら、のろのろと玄関に向かう。
洗面所の扉の前を通過して。



 そのとき、シャワーの音が止まった。

 ぎぃ、と洗面所の中でお風呂のドアが開く音に、過剰に跳び上がってしまう。



 相馬、出てきちゃう。

 早く行かなきゃ――いや、でも、今さらだけど、鍵開けたまま出ていくってこと? 
それは不用心じゃない?

 でも、だったらどうすれば。
短時間だし大丈夫だとは思うけれど――



 がちゃりと音がして、相馬が出てくるのは思いのほか早かった。

 まずい。

 肩にタオルを掛けた相馬が、玄関に立つ私を見て、目を丸くする。



「霧野…………え、帰るの?」

 ああ――まずい。


/193ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ