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第12章 回想 不均衡



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 ナーバスになっているとは、自分でも自覚している。
今までは、こんなふうに思ったことなかった。

気に入られなきゃ。
役に立たなきゃ。

焦りだけ募って、でも焦ったからって気に入られることができるなら、そんなに楽なことはない。
自分が器用じゃないことも、自覚している。



 前のチームでは、同い年が一人もいなかった。
このチームに移って、急に相馬という同期と並べられて、そして彼は、誰もが認める優秀な人材だ。
まさか、彼と同じぐらいの仕事が私にもできると思われているわけじゃないだろうけれど――無意識に比べてしまう。

周りの先輩たちの目ではない。
これは、自分自身の問題だ。



 さっと飲み会をセッティングして、料理を取り分ける相馬と、自分を。
先輩にも上司にも後輩にも同期にも、みんなに慕われている相馬と、自分を――。



 お手洗いの個室の中で、静かに両手で顔を覆う。
とっくに気づいていた。
私は彼に、憧れている。仕事の範囲に収まらないほどに。


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