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Memories-あの日のあの人は
第2章 出会い
『彼』と出会ったのは、そんな日。いいえ、『彼』の存在は知っていたと思う。
同じ駅から、『普通』電車に乗る。同じ時間、同じ車両、同じ扉。
中学3年生になっていた。『彼』も同じ学年だったと思う。
でも、『彼』は、いつも樟蔭中学か、プール学院の女の子と一緒だった。あと、同じ清風中学の男の子。
幼い感じの『彼』。そんな『彼』の傍から、樟蔭中学の女の子の姿がなくなった。理由は、わかっていた。2人の会話を車内で立ち聞きしていたから。
「お母さんが、『自転車で通学しなさい』って言っているの」
と、『彼』に話していた。涙を浮かべる女の子に、
「そうなんだ。自転車の方が早いからね」
と、『彼』は言っていた。鈍感な男だと思った。傍から見ていても、その樟蔭中学の女の子は、『彼』に恋愛感情を持っているのが伝わってきていた。
『彼』の傍らで、布施駅までのわずかな時間。身体を寄せて、いじらしいほど、『彼』の顔を見つめていた。
もしかしたら、小学校も同じだったのかもしれない。それとも、幼馴染。私の2人のイメージは、あだち充の『タッチ』の上杉和也と浅倉南だった。
私にとって、樟蔭中学の女の子は羨ましかった。『彼』のような存在がいるからではなく、この混雑の満員電車で、同じ中学生とはいえ男の子と一緒にいることの心強さが。実際、『彼』と一緒に居る樟蔭中学の女の子は、多分、オッサンやオバサンから、嫌味を言われていなかったと思う。
それは、同じ中学生とはいえ、一応、男の子がいること、1人ではないこと、いろんな意味で守られていたのだと思う。
それに引き換え、私はいつも1人で通学。周囲のオッサンやオバサンの標的になっていた。
それは、プール学院中学の女の子も一緒。たまに、3人で一緒に居ることもあった。そうなると、周囲の大人たちも文句を言わない。
たまに、
「朝からイチャイチャしやがって」
と、やっかむ若いサラリーマンはいた記憶はあるけど、それは、本当にたまの出来事。
それが、中学3年生になった途端に、樟蔭中学の女のがいなくなって、しかも、『彼』の同じ学校に通っていた男の子も一緒ではなくなった。
男の子とは、仲が悪くなったのかもしれない。
実際、噂のある男の子だったから。周囲に誰もいなくなった『彼』に、私は近づいた。
同じ駅から、『普通』電車に乗る。同じ時間、同じ車両、同じ扉。
中学3年生になっていた。『彼』も同じ学年だったと思う。
でも、『彼』は、いつも樟蔭中学か、プール学院の女の子と一緒だった。あと、同じ清風中学の男の子。
幼い感じの『彼』。そんな『彼』の傍から、樟蔭中学の女の子の姿がなくなった。理由は、わかっていた。2人の会話を車内で立ち聞きしていたから。
「お母さんが、『自転車で通学しなさい』って言っているの」
と、『彼』に話していた。涙を浮かべる女の子に、
「そうなんだ。自転車の方が早いからね」
と、『彼』は言っていた。鈍感な男だと思った。傍から見ていても、その樟蔭中学の女の子は、『彼』に恋愛感情を持っているのが伝わってきていた。
『彼』の傍らで、布施駅までのわずかな時間。身体を寄せて、いじらしいほど、『彼』の顔を見つめていた。
もしかしたら、小学校も同じだったのかもしれない。それとも、幼馴染。私の2人のイメージは、あだち充の『タッチ』の上杉和也と浅倉南だった。
私にとって、樟蔭中学の女の子は羨ましかった。『彼』のような存在がいるからではなく、この混雑の満員電車で、同じ中学生とはいえ男の子と一緒にいることの心強さが。実際、『彼』と一緒に居る樟蔭中学の女の子は、多分、オッサンやオバサンから、嫌味を言われていなかったと思う。
それは、同じ中学生とはいえ、一応、男の子がいること、1人ではないこと、いろんな意味で守られていたのだと思う。
それに引き換え、私はいつも1人で通学。周囲のオッサンやオバサンの標的になっていた。
それは、プール学院中学の女の子も一緒。たまに、3人で一緒に居ることもあった。そうなると、周囲の大人たちも文句を言わない。
たまに、
「朝からイチャイチャしやがって」
と、やっかむ若いサラリーマンはいた記憶はあるけど、それは、本当にたまの出来事。
それが、中学3年生になった途端に、樟蔭中学の女のがいなくなって、しかも、『彼』の同じ学校に通っていた男の子も一緒ではなくなった。
男の子とは、仲が悪くなったのかもしれない。
実際、噂のある男の子だったから。周囲に誰もいなくなった『彼』に、私は近づいた。